アメリカの宅配事情ということで読み始めたのだが...
文中に事実とは異なる記述があったので、ちとツッコミ入れてみる。
「再配達をしたくない宅配業者が、玄関の前に荷物を置いて帰ってしまうと[い]ったケースもあると言います…」
あのー、これ、アメリカ住んでりゃごくごく
あ た り ま え
のこと、なんですけど。
少なくとも、うちみたいに一戸建てが並ぶ郊外住宅地であれば、荷物なんてドア前にボーンと放置されていきますよ。いつも。
(一応、一回だけは呼び鈴鳴らしてくれる。でも、ドアを開けたら既にドライバーさんは車上の人となってぶおーっと走り去っている。在宅か不在かなんて確かめたりはしない。)
ニューヨークやサンフランシスコといった、大都市の住宅密集地や、治安が悪く置き引きが当たり前、というところでは若干事情が違うのかな。
暮らしたことが無いので、そこまではわからないや。
でも、日本みたいに時間指定で業者さんが再配達に来てくれるケースなんて、ほとんど無いよ。
よっぽどの高額商品を買って、「受け取り時には大人のサインが必要」という条件が付く時とか、「Overnight」(翌日配達)便のように、宅配料金がべらぼーに高い時とかに限られている。
そういう場合にしたって、せいぜい「〇月〇日」と日付指定ができる程度。時間の指定までは無理。
だから、その日は無事荷物が届くまでおちおちトイレで長居することもできないのだ。
日本の2時間刻みでの指定なんて、こちらの人が聞いたら卒倒するだろうね。
(仮に指定可能だとしても、どうせ守られるはずがない。一日拘束されるのに等しい。)
というわけで、Amazonから来る超大型段ボール箱に入ったトイレットペーパー60個入り1ケースも、
薄っぺらいバブルラップ(いわゆるプチプチ)に裏打ちされた封筒に入ったCD1枚も、
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夢のような音♬ シューマンのファンタジアでは思わず涙が。
つい三日前にドア前に置いてありました。
危うく家族に踏んづけられるところだったぁ~...。
「日本で買うとバカ高いし~」と、高校生の子どもがいる親類(と、便乗した友達)に頼まれてオーダーしたアバクロ(Abercrombie & Fitch)のでっかいロゴ入りスウェットやらパーカやらが入った、ポコッと膨らんだ大型封筒も、
全て玄関マットの上にゴロリ、と無造作に置いていかれるだけ。
幸い我が家は人通りの少ない道、それも袋小路の奥から2軒目なので、玄関先があまり人目につくことはない。
なので、置き引きの被害にあったことはまだ一度も無い。
単に運がいいだけなのか、それともこの辺りの住民層が良いからなのか...。(多分後者だろうね。教育熱心な人々に人気の高い住宅地だから、ここは。)
【参考記事:アメリカの住宅地~住み分けという知恵~ http://plaza.rakuten.co.jp/backtotheessence/diary/201105130000/ 】
じゃぁ、どうしてアメリカの人がこの宅配業者さんを絶賛したのか、って?
そのヒントは、記事2ページ目のこちらの文にある。
「アメリカでは不在の場合は「自分で営業所に取りに行かなければならないケース」もあり、宅配業者のこのアイディアは好意的に受け止められているようです。」
ここですよ、ここ。
うちも過去に一回だけやったことがある。
再配達を指定した日に、どうしても急遽家を留守にしなければいけなくって(学校行事か何かだったはず。)、FedexかUPS(いずれもヤマトや佐川みたいな、大変メジャーな宅配業者)の営業所まで荷物を取りに行くこととなった。
ところが、その営業所が
と、遠いの何のって...!!!
片道1時間近くはかかったわ。
こういう宅配業者の営業所って、配送トラックの基地も兼ねてるのが普通。だから、たいていの場合、市のはずれの、工場やら倉庫やらが立ち並ぶ、完全な【産業地区】の中にある。地図があっても一般人にはわかりにくいことが多い。
目印らしい目印がほとんど無いのだから。
しかも、営業所の開いている時間が夜の7時まで、と、仕事を持つ人(この場合、うちのダンナさん)には不親切なこと極まりなし、なのだ。
夕刻のラッシュ時で、道が混んでるし。
あの経験で完全に懲りたわれわれはかたく誓いあったものですよ。
「どんなことがあろうと、営業所まで荷物引き取りに行くことだけは、今後何としてでも避けよう。」と。
ちなみに、コメント欄に書かれている「近所のコンビニに...云々」の件でありますが、これは残念ながらアメリカでは全く通用しないご意見ですね。
というのも...
アメリカのコンビニは
二昔前の駅構内にあった売店にも劣る、
使い勝手ゼロ以下の、ただの中途半端な店です。
「こんな時間でも開いてたよ!」以外に何の取り柄もありません。
買いたいものがほんとにほんとに何もナイ...。
近所のガソリンスタンドに併設されたセブンイレブンの、暖色系+緑色でまとめたあのお馴染みの看板を見る度に、私は毎回やるせない気持ちになり、泣きたくなってきます。
日本のセブンとアメリカのセブン。
これほどまでに「似て非なるもの」は他に無いですよ。まったくもう😡。
じゃぁ、宅配配達時に留守がちの働く人々は一体どうしているのかって?
借りるんですよ。有料の、私書箱を。
こんな感じの私書箱コーナーを備えたお店が、たいていの商店街には1軒か2軒必ずありましてね。
で、郵便物や荷物の盗難被害を恐れる人達が月々いくら、という料金を払って借りているのです。
(写真には無いけれど、大型の荷物なんかも店のカウンターの中できっと預かってくれているはず。)
宅配便の発送や、ラッピング資材などの販売、コピー・FAXサービスなども取り扱っているため、クリスマス前には結構ごった返していたりします。
日本のようなコンビニは無いけれど、その代わりに街の事務仕事を手伝ってくれる、頼もしいよろず屋としての私書箱屋さんが、ちゃんとビジネスとして成り立ち、そしてわれわれの暮らしの中に根付いているわけです。
(日本でもこういう不在配達対策ビジネスをそろそろ流行らせた方がいいんじゃないかな?何でもかんでも宅配業者さんとコンビニとに押し付けるのは、さすがにまずいでしょう。従業員の人達だってそろそろ限界だよね。
クロネコさん、飛脚さん、そろそろ新規ビジネスでも立ち上げして、がっちり儲けてはどうですか?でないと、南米の密林さんが動き出して、あっという間に獲物丸ごとかっさらって行っちゃいますよー!
まぁ、本当に荷物を盗まれたくなかったら、店まで出向いて買ってくるか、もしくは
金💲、出しな
というのが、アメリカの現実なんです。
さすがはチップ制度が未だに現役バリバリで生きている国だけのことはありますね。
サービスはわざわざ金を余分に出して買う、金出さない奴にはサービスはしない、というのがアメリカ人のやり方。
この国で「無料サービス」と呼べるものなんて、コストコ(Costco)の試食コーナーぐらいじゃぁなかろうか。
いや、コストコ試食だって、年会費払っていない人は建物の中にすら入れないわけで、決して「無料」ではない...。
どこまで行っても金・💲・金、だよなあ。ううむ。だからああいう大統領も出るわけで...。
そんな世知辛い社会への反発から、「無償の奉仕」を謳ったボランティア活動に目覚めたり、キリスト教の教えに共鳴したりする人も増えるんだろうなあ。
なるほど。なんとな~くわかってきたぞ。
記事に登場した宅配ドライバーさんの粋なはからいには、大きな拍手を送りたいところだけどね。