(初出:2016年7月@Google+)
一般的に「マレット」の名で知られている男性の髪型。
前や横は普通に刈り込むのだが、後頭部の毛だけはなぜかロングにする、というものである。
なぜ、人はマレットにしたがるのか。
マレット好きの女性って、いるところには大量にいるんだろうか。今まで会ったことないのだが。
(下のリンク先サイト・
PLAGUE OF THE MULLET!!! では、完全に伝染病扱いされてるよ...。)
これと、あと、後ろにちびっこ〜い三つ編み一筋だけ垂らす髪型、ね。
(もう名前すら調べるのも嫌だよ、と思ったが、ちゃんと載っていた。
ここに。The Rat Tail~ドブネズミの尻尾~だって。)
この二つの髪型だけは、どうしても生理的に受け付けられない。
ダメ。ゼッタイ。
いつか、そういう髪型をしている方に会うチャンスがあったら、「どうしてそのヘアスタイルにこだわるんですか?」って聞いてみたいな。
日本では上の写真のような正統派マレットには(幸いなことに)なかなかお目にかかる機会が無い。
その代わり、プロゴルファー・ジャンボ尾崎氏の、いわゆる「ジャンボカット」(襟足だけがもたついてる、あれ...)がマレットの亜流として長年にわたって幅広い人気を集めているようだ。
子供から大人まで、と、あらゆる年代に愛されるところがさすがはマレット、腐ってもマレットはマレット、だ。
まぁ...ジャンボカットの場合、本家本元ほどの破壊力は無いけどね。
一般に、ヘビメタ業界以外での男性の長髪を嫌う日本社会ではこちらの控えめ版マレット=ジャンボカットの方が馴染みやすかったのかな。
とは言ってみるものの、もし、自分の身内がやっているのを見たら、即刻床屋送りにして、その後で小一時間は説教してやろう、と思う。
赤の他人がやるのは一向に構わないが、身内には許せない。
マレットとは、そういう類の髪型である。
アメリカのど田舎のカントリーミュージックの祭典とかに行くと、舞台の上にも観客席にも、このマレット頭のおっさん&お兄さんがうじゃうじゃいる。
21世紀の今では多少違ってきたかもしれないけれど(実際に行ったことないのであまりいい加減なことは言えないね)、とにかくそんな「カントリーミュージック≒マレット」のイメージだけは根強く社会全体に残っている。
上のマレット長髪にいさんの名は、ビリー・レイ・サイラス。
そう、一昔前にディズニーチャンネルの「ハンナ・モンタナ」でおなじみとなり、その後もソロシンガーとしてメディアをお騒がせしているマイリー・サイラス嬢の親父さんである。
そのビリー・レイ・サイラスが”Achy Breaky Heart"というヒット曲で全米チャート上位に食い込んできたのが、1992年のこと。
ベストヒットUSAか、SONY MUSIC TVか、どちらかは忘れた。
だが、初めてこの曲のプロモビデオを見た時、全身の毛が恐怖に逆立つような、実に気持ちの悪い感覚を味わった。
そして、一人しかいない深夜のリビングルームでつい、こらえきれずにうめき声を漏らしてしまった。
「うわー!!! その髪、やめれ−−−−っ!!!」
もう、全編、歌手ご本人も、バックバンドのメンバーも、みーんな揃ってマレットの嵐...。
ビジュアル的にキッツいです。どこにも救いが無いです。
マレット頭が映るより、顔面アップの方がまだ精神衛生上いいわ。
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マレットの元祖はスフィンクス、だそうで。なるほど。 ん・・・?これって男だったっけ?女だったっけ? |
あれまぁ、1980年代のスパンダー・バレエとジョージ・マイケル(まだ死んじゃったことを信じたくない気分...。)も、「マレット認定」受けてるじゃないですかぁ。(しかも、スパンダーの方は"nice mullet"とヨイショまでされてる。良かったね。)
彼らイギリス勢の髪型は、先のアメリカン・マレットと比べてもそれほど見苦しいとは思わなかったけど。
マレット、というよりは、「ニュー・ロマンティック」と呼ばれる音楽(デュラン・デュランが代表格)全体に行き渡った、当時流行のカッコいい髪型、って感じてとらえていたから。
「カッコいい」の片鱗すら感じられないアメリカン・マレットとは完全に一線を画するべきだと思うよ。
ニック・ローズ(前列中央)の髪型こそ「ダイアナ妃カット」だと思いますがねー。
それにしても、ヒット曲たくさん。よくここまでしぶとく頑張った。エライ!!!
イギリスの売れっ子ミュージシャンの場合、洋服はデザイナーズブランドの良いもの選んでピシっと小奇麗に決めていたからねぇ。
アメリカ、特にカントリーミュージック好きの人々に多い、正真正銘のマレット男(はっきり言ってしまうが、
貧乏くさいし、お世辞にも趣味が良いとは言えない。)と一緒にしたら失礼だろう。
陰で地道な努力を欠かさないおしゃれな人々と、単にだらしないだけの自称「自然体」な人々。
この二つのグループは、厳然と区別しなければならないのだ。
80年代。
今から振り返ると、つくづくトホホな時代だったと思う。
自分を少しでもBIGに見せたくって、その辺のにーちゃんねーちゃん誰もがこぞって「整髪料スプレーのフロンでオゾン層破壊しまくっていた」時代だったよ。
その後、環境問題に関する意識も次第に高まり、ヘアスプレーの使用料が減っていったことでマレットの流行りが下火になっていったのは、不幸中の幸いであった。
地球にとっても、そしてマレットを忌み嫌う我々のような人間にとっても。
頼むから、もう二度と戻って来ないでね。マレットブーム。
【参考記事:「溢れ出るDQN臭...世界のジャンボ尾崎カットな人々 まとめ http://chu2.jp/post/8750/ 】